時代が大きく変化していくと予測される中で、「AI(人工知能)によって仕事がなくなる」という話を見聞します。外国の研究者や野村総研などの調査では、10年〜15年後の2030〜2035年頃には人類の仕事の約27%〜50%が人口知能ないし機械によって代替され消滅すると予測しています。同時に、新たなテクノロジーの導入による失業などは、いつの時代にも繰り返されてきた出来事でもありますが、新しいテクノロジーは人間の仕事を奪うと同時に、新しい仕事を生み出していることも事実です。
2000年にノーベル経済賞を受賞したシカゴ大学のジェームス・ヘックマンは人間の能力を「認知能力(知能検査などで測定できる能力)」と「非認知能力(意欲、忍耐、自制、協調、共感などのこころの部分である能力)」に分けて、教育においてあまり注目されてこなかった「非認知能力」の重要性を指摘しています。「人生で成功するかどうかは認知的スキルだけでは決まらない。非認知的な要素、すなわち精神的健康や根気強さ、注意深さ、意欲、自信といった社会的・情動的性質も欠かせない。学力検査やOECD生徒学習到達度調査(PISA)などによるテストに測定される、認知的スキルばかりが注目されがちだが、じつは非認知的な性質も社会的成功に貢献している」とヘックマン教授は指摘しています。
浦山学園は、「地学一体による地域課題解決拠点」としての教育・研究機関を目指していますが、AIとの共存社会がやってくる中で、知識の向上は勿論ですが、人工知能やロボットなどの機械に負けない、「非認知能力」を更に強化していくことが重要だと考えています。中でも、素材がない状況から何かを生み出す「クリエイティビティ」やヒトとヒトの信用の基盤となる情操的感性の「ホスピタリティ」などは、人間だけが持つ「非認知能力」を育成する重要な観点だと有識者たちは述べています。
浦山学園は、時代が大きく変化しようとしている中で、「地学一体による地域課題解決拠点」の強化を目指し、より高度な教育コンテンツの構築に向けて教職員と学生そして地域が一体となって取り組めるように挑戦します。
今後ともより一層のご指導、ご鞭撻のほど何卒よろしくお願い申し上げます。
学校法人 浦山学園
理事長